深層心理学者ユングが分析し探求した夢、明恵上人が40年にわたって書き残した夢、カスタネダがヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンに導かれた夢、スペインの羊飼いも夢をみて砂漠へ旅立った。ものごとがはじまるということ、いや、なにかを探しにいくということは、もしかすると夢をみることなのかもしれない。
暗闇で大きな鳥が、まるでそのときを知っていたかのように飛び立ち、一つの弧を描き枝にとまる。筆からしたたる墨、空を切る弓矢、野から連れ去られ花入れに立てられた花は、その鳥が描いた弧を、どこか思い出させる。
風の音を聴くように。深い海の底の音を聴くように。白と黒の鍵盤の上で、僕は夢をみたい。月の夢、空の夢、海の夢、夕暮れの夢、森の夢、花の夢、流れ星の夢、あなたの夢。そこに、いつか偶然の音楽が聴こえることを祈って。
夢は物語となり、物語は歌になる。すべては夢をみるために。色の無い、夢の中へ。
2013年12月16日 岡山 知憲